「天災は忘れた頃にやってくる」昔からよくこんなことわざといいますか格言を聞かされておりました。みなさんもどこかで見たり聞いたりしたことがあるかと思いますが、今もこの文言がしっくりくると言っていいほどの当てはまる状況下に我々は生活していると言えましょう。
ある意味コロナウイルスも天災なのかも知れません、歴史をひも解けば疫病による災禍も幾度となくあったものの、これほど世界的に長期に渡り苦しめられるとは多くの人が夢想だにしなかったことでしょう。
ある日のこと、何気に家の裏へ行く機会があって(なのでめったに家の裏に行ったことがないということになりますが)壁の片隅に放置された飯ごうを発見、昔ボーイスカウト的な活動をしていた時に使っていたものでした。半分雨ざらしになっていて表面はわけの分からないものが付着、取っ手は錆まくりではあるが中身はまあそんなに劣化はしてなさそうです。
大人になるにつれ、そういった活動をしなくなり、そのままどこかに行ったものと思われていたのですが、発見したことで当時のことが懐かしく思い出されると同時に「これを今使ったらどうなるのか」という気持ちが沸々とわきあがりました。
その動機として、キャンプ的な感覚で楽しみたいのと光熱費もその分抑えられるなというセコい考え、そして災害など非常時のために経験しておきたいという殊勝な気持ちがありました。
ホームセンターなどではライスクッカーなる洗練されたお米を炊くアウトドアアイテムがいろいろ売られていますので、きょうび飯ごうのようなオールドグッズは流行らないのかも知れません。
しかし温故知新、あえて当時のものでやってみることで何か気づきはないか、確かめてみたいと思います。
とにかく汚れがひどいので洗浄することに、非常時を想定するとなると家に引き込んでいる湧き水を使用したほうがいいのかなと、とりあえず外側は湧き水でブラシで擦り、錆びついた取っ手は紙ヤスリで磨きましたが、飯ごう中身の洗いはどうしても気になるのでズルいですけど(何がズルいのか分かりませんが)水道水と食器用洗剤で念入りに行いました。
とりあえず何とかキレイになったかなというところですが、使用感としてはかなりブランクがあるので1合のお米でやってみたいと思います。
お米はライスストッカーから1合のボタンを押して出しました、飯ごうの中蓋に入れるとこんな感じです。
お米を飯ごうに入れ水洗いします、サバイバル観点からいくと湧き水でやりたいところですが、万が一のことを考えてここも水道水で洗います。
洗ってから炊くための水も目分量でかなりいい加減ですが、1合だったらお米の面からだいたい1.5cmぐらいでしょうか、中蓋は入れずに蓋をして火にかけます。
当然野外でやるのですが 先に上げたブログで紹介したブリキのバケツを使用、その 両サイドに家にあったブロックを置きます、ちょうど良い高さになるよう組み合わせを考え、1段目を横、2段目をタテに、その上へこれも家にあった鉄の棒(厳密にはホームセンターで売られていたロープ止め丸棒)に飯ごうの取っ手を通して置きます。
燃料となる木々は裏山で剪定のため伐採して乾燥させたもの、や知り合いからもらった廃材などです。
ダイソー折りたたみ式ターボ・ライターがここでも活躍、ストックしておいた廃材や剪定した木や枝をバケツに投入し、ターボライターで点火、すぐ燃え広がりました。
廃材が燃えていくにつれ炎のポイントが変わってくるので、飯ごうにまんべんなく火力が来るように薪を移動させたり鉄棒を動かしたりしながらベストポジションを狙います。
思いのほか調子よく木が燃えてくれるのでどうでしょうか、火にかけてから20分程して飯ごうの蓋から湯気と共に水分が流れ出てきました、まさしく煮えているサインです。
いったん鉄棒を外して蓋をとってみます、確かに炊けていますがまだ水分量が多い、再び元に戻します。
火をかけ続けて吹きこぼれもありつつおおよそ35分、どうかなと蓋を開けてみると、おおっ!良い具合に表面にいくつもの穴、いわゆる「カニ穴」ができております、これは上手く炊きあがったというサインに外なりません。
まあ、一合のお米で実質約35分で炊けたことになりますが、水の量や火の加減によって炊きあがりの時間は前後するのかも知れません、よって合間合間に状態をよく見ておくことがマニュアル的な面白さであり、難しさと言えましょう。
実はこの後一つやる作業を忘れていまして、本当は飯ごうを取り出し、逆さまにして底をトントンと叩いて蒸らす時間が必要だったのですが、あまりの嬉しさに思わずそのまま蓋を開け、中蓋にご飯を盛ってしまいました、その影響か飯ごうの中にまだまだ多くのお米がひっついて残っています。
底の方は若干おこげもありました、スプーンで何とかかき出しながら中蓋に山盛りとなりました、出来は上々だと思います。
今日のお昼はこのご飯と業務スーパーで買ってきたオイルサーディンの缶詰、キャンプチェアーを置いて本格的にアウトドアランチとなりました。
試食をしてみます、取り出した当初は少し水分が多くて柔らかすぎるのかなと思いましたが、時間がたつにつれ蒸気で水分が抜け、程よい硬さになっています。
これ、炊飯器のグレードにもよるんですけど、明らかに風味の違いを感じます、香ばしいと言いますか、木が燃える時の熱がお米と水の融合作用に何らかの力が加わり、電気炊飯器では作り得ないお米本来の匂いが際立つ味となっている感がします、あくまでも私個人の感想ですけど、それに晴れた青空の下で食べるランチは贅沢で何だかスペシャルな気分になりますね。
約30年前活躍し、その後放置された飯ごうも改めて機能はしたという結論となりました。
PS.この後しっかりと飯ごうは洗いましょう、後が大変です。