カワイ・ビザールギターの希少版

私が学生の頃、バンドを組んで、その時に愛用していたエレキギターの1つに「カワイ・ビザールギター」があります。

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なかなか、おもしろい形をしていると思いませんか。

見た目、ギブソンSGみたいですけど、ヘッドの部分がもろクラシックであります。

①どうやって購入したか

1980年代の事です、当時学生であった私は、奈良市内のとある楽器店へ、フラッと立ち入った所、このギターに出会いました、展示されていたギター群の中で、ひと際 異彩を放っていました。

この時バンドを組んでいて、ボーカル兼ギターの私は何かいいギターはないかなと内心考えていた所でした。

店長に言って弾かせてもらい、インパクトもあって良かったので、欲しくなりました。

この手のギター2種類、あるうち現在ある1本を選びました。

当時の価格が8万円、親に借金するなど、なんとかして購入に踏み切りました、専用のギターケースもついていました。

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②カワイブランドについて

河合楽器製作所:本社・静岡県浜松市中区

ピアノ販売の大手、以前は「ムーンサルト」に代表されるエレキギター、およびベースを生産していたが、現在では撤退

先代社長は、河合小市氏。もと日本楽器製造(現ヤマハ株式会社)で働いていたが、その後独立,河合楽器研究所を設立(1927年)

他にシンセサイザーやドラムマシーンも一時生産していた、カワイ音楽教室は有名

このギターの正式名称ですが、確かにあったはずなのに忘れました。「M-1」だったかな?ネットで調べても なかなか出てきません、「ムーンサルト」や「F-1」などは資料としてあるのですが、まあ いろんなギター作ってたんだなって感じです。

③各スペック

ヘッド

まず、頭のほうからいきましょうか、インパクトありますよね、エレキなのにクラッシックギター的な糸巻き部です。

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「カワイ」のロゴがあしらわれています。むーん、独特な書体ですね、ペグはなんとグローバー社製です。あのジミーペイジ先生のギブソン・レスポールにも交換採用されていたペグですね、ただ位置的にヘッドをくり抜いた隙間に弦をとおす格好になるので、弦の交換はやり易いほうではありません。

ネック

指板は黒いので、おそらく材料はローズでしょうか、ポジションマークは指板を彫り込み、貝殻模様のプレートを埋め込んでいます、なかなかの職人芸です。

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フレットは24フレットまであり、ハイポジションでも割と弾きやすいです。

裏側はスルーネックといいますか、木を組み合わせてボルト無しでつなげて加工しています。

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ボディ

材質はわかりません、色はブラウンサンバーストとでも言いましょうか(そこまでグラデーションかかっていないか)、若干木目を生かした仕上げになっています。

形状はダブルカッタウエイで、ギブソンSGみたい、ただエンドピンの周辺はアール状にえぐられています。

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抱えた時にしっくりくるように、ストラトキャスターみたいにコンタードボディ加工がされています。

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ピックアップ

国産かと思われますが、カバー無しのハムバッキングタイプです。ただ、これはシングルコイルに切り替え可能な構造になっており、コントロールノブのあたりにその切り替えスイッチがついてます。

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コントロールノブは4つ、レスポールなどと同じく、フロント・リアそれぞれボリュームとトーンが2個づつ、トグルスイッチでの切り替えです。

黒のスピードノブで1つだけ形が違うのは、昔にこのギターを机か何かに立てかけていた時、バランスを崩して倒れてしまい、その拍子で割れてしまったからです。

当時、同じ形のノブが無かったので、とりあえず、それに近いものを買ってきてつけたのがそのままとなっています。

あと、ジャックの位置はボディ横ではなく、表面についています。

サドル・ブリッジ

ここはテールピースとブリッジが一体となった仕様になっています。

サドルの内側から弦を通し、外からまわしてきて、ブリッジにかける形です、ですのでテンションがきつめになります。

あと、おもしろいのはブリッジを支えるプレート、埋め込み式になっていますが、当時の店主が「このプレートは西ドイツ製だ!」と言っていたのを覚えています。

確かに「West Germany」と刻印されています、時代は「ベルリンの壁」が崩壊する以前のことなので、この頃はけっこう西ドイツ製のものがこれに限らず流通しておりました。

弦の鳴りを良くするためにプレートが施されたということです。

ストラップピン

ネックの付け根のところと、ボディお尻の所に設置、実はごく普通のピンがついていたのを当時流行っていたロック式ピンと交換しています。(ライブでの激しい動きでも外れないという触れこみでした、ですがちゃんとはまっていなければ当然外れます)

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④サウンド

これまで弾いてきて感じたことは、6弦それぞれの音の粒がそろってるなということ、木の鳴りも悪くありませんでした。
どちらかいうとディストーションでハードなサウンドを展開していくよりも、クリーンサウンド、コーラス、ディレイ、コンプレッサーを使った音のほうがこのギターの特性が光るなと思います、昔でいうメロウサウンドがよく似合うギターです。
シングルコイルよりかはハムバッキングセレクトの方が豊かな音色になるので、もっぱらセレクトはハムバッキングです。

⑤弾きごごち

24フレット仕様の関係で、ネックが比較的長めになっており、確かにハイポジションでも弾きやすくはなっています。なのでストラップにかけた時、手をはなすとネック側の方が下がる状態になります。
ストラップピンの位置を変えるのも手なんですけど、穴をあけるのがもったいないのと、めんどくさいのとでそのままにしています、大きな問題ではないです。

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ボディは体にフィットするよう裏側が削られているので馴染みは良いです。
ライトゲージの弦だと、他のギターよりテンションがキツイと思います。
それと、私の弾き方のせいかも知れないですが、激しくピッキングして、よくブリッジ側で弦が切れることがありました。

⑥まとめ

・このカワイビザールギター、正式名称がまだわかりません、知っている方がいましたら教えてください。(後日、マサさんという方からコメントいただき、『Mー1』であることを教えていただきました、下記にその返信履歴がありますので ご参照ください)

・生産はおそらく、1980年前半あたりにされていた。

・最大の特徴、ヘッドがクラシックギター仕様となっている。これ以降、おなじようなタイプのものが出ていないということは、やはり使い勝手が悪かったからなのでは

24フレット仕様のため、首がずいぶん長いです。

・当時の購入価格は8万円なり。

メロウなサウンドで真価が発揮されるギター

 

他のギターで気になる方がいらっしゃいましたら、こちらのサイトも ぜひご参考にください。

エレキギターなら石橋楽器店!

6件のコメント

  1. だいぶ昔の投稿ですが、私も同じギターを持っていますのでコメントさせていただきます。

    このギターはカワイのM-i[M-1]ですね。
    70年代終わりから80年初頭までの3~4年ほど作られていた様です。
    特徴は何といってもオープンヘッドの24フレット、ヒールレス加工のセットネック、ブリッジ下のサスティンブロックですね。
    シリーズとしてもう少しオーソドックスな作りのM-ii,M-iiiもありました。
    カワイはちょっと変わったギターを色々と作っていたと思います。
    その中でもMシリーズは強烈な個性で、私も一目惚れでした。
    M-iとM-iiiを苦労して入手しましたが状態が悪いので、いつかは状態の良いものを確保したいです。
    良いギターだと思いますので、ぜひ大切になさって下さい。

    こちらのURLに手持ちの当時のカタログをアップしましたのでぜひご覧ください。
    https://www.axfc.net/u/4034437

    1. やはり名前はそうだったんですね。
      時代の変遷と共にギターのスペックも変わってくることだろうと思いますが、このギターの存在意義が今後高まることを期待しつつ大事にしていきたいと思います、ありがとうございました。

  2. 初めまして、コメント失礼します。こちらで紹介されているギターは販売されていますでしょうか?

    1. コメントありがとうございます。しばらくブログ更新をお休みしていたため今拝見いたしました、遅くなり申し訳ありません。ご質問のカワイギターの件ですが、現在のところは販売を予定しておりません、重ねて申し訳ございません。

  3. YouTube を見てたら、馬場美夕という若い女性がギター演奏の動画を沢山アップしていて凄く上手いと思ってました。その子がメインで使用しているギターが今まで見た事がなく、なかなか良いと思った。ちらっと見えたヘッドのロゴがカワイだったので検索してたらこのページにきました。なかなか素敵なビンテージギターですね。大事にして下さい。

    1. コメント頂き、ありがとうございます。よくビザールギターとか言われますけど、これも日本の誇るべき作品だと思います、大切にします。

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