竹三味線(たけしゃみせん)制作日記

私は音楽をやっている関係上かねてより楽器作り(ギター)に興味があり、こんなギターがあったらいいなとラフスケッチを描いてイメージを膨らましたりしているものの、ギタークラフトマンのように原木から加工していくほどの腕も忍耐もないので過去をさかのぼると大体は机上の案止まりでした。

まあ、せいぜい所有しているギターに少し改造を加えるか、カラーリングを変えたりとかするレベルに留まっています。

<構想>

そんな私があまりガチに考えるのではなく、もっと気軽に楽器づくりを楽しみたいと思い直したのと、やはり世界に一つしかないものを作りたいという欲求もあり、今回「竹三味線(たけしゃみせん)」(仮名称)なるものをプロデュースしたいと思うようになってきました。

名前でピンと来られたかと思いますが、これは三味線、および三線からインスパイアされたものです。

やはり日本人ということで、ルーツに根付き、なおかつ斬新なものをという狙いでイメージを発展させました、過去に描いてきたラフスケッチ群が以下のとおりです。

DSC_1924

加工した竹があしらわれたボディのアコースティックギターはネットで見たことがあるのですが、竹の形そのままの楽器と言えば私は尺八ぐらいしか思い浮かびません、尺八は笛 いわゆる管楽器、、今回これに弦を張って楽器になりうるのかどうかを検証してみたいと思うのです。

まず、貼ったときの弦を支えられる強度が必要(ペグやブリッジ設置を考えるとどうしても弱いので)、ホームセンターで購入してきたアングル(よく棚をつくる材料として置いているスチール製の枠)を1本(ブラック、長さ90cm)をベースにしてみようとと思います。

DSC_1899

竹とアングルの固定についてですが基本ボルト、ナット、及びプレートを使用しようと同じくホームセンターでプレートを4枚購入しました。

DSC_1901

引き続きラフスケッチに基づき、必要なパーツを揃えていこうと思います。

まずはメインとなる竹の調達です、ここは田舎のアドバンテージ、裏山にイヤという生育している竹、とはいえ山は所有しておらず、持ち主の許可を得て山に入ります。

竹林には毎年春になるとタケノコが発生、もちろんそれを収穫すれば食材として使えますが、採らずにそのままにしておくとグングン背が伸びて竹に成長します。(あたりまえですが)

なので細いヤツから太いヤツまで、また枯れて折れていくのもあり様々です。その中から手頃な大きさのものをノコギリで切り、採取します。

DSC_1892
DSC_1894

山から引きずり出す感じで家の駐車場まで移動、枝を取り、とりあえず使えそうな部分を残しカットします。

DSC_1896
DSC_1898

アングルに当ててみて、それを左手で握ってみてフィットするかどうかみてみます。竹には節、枝の根っこが出っ張っているので調整を考えます。

<マシンヘッド部>

まず、とりかかるべき所はマシンヘッド(糸巻き部)、ここが機能するかどうかが問題であります。

ペグは以前のブログで紹介したアコースティックギター ヤマハjuniorのペグ交換の時に取り外していたのがあり、それを流用することにします。

イメージとしてはアングルの先端の穴にペグの糸巻き軸を通したいのですが、ペグは3個配置するプラン、アングルに仮当てしてみます。

DSC_1903
DSC_1904

90度にコーナーが曲げられているので、片方に2個、もう片方に1個マウントする形が妥当ではないかと判断しました。

あとどうやって固定するか、いろいろ考えてみてとりあえず、薄めの板2枚に穴をあけ、アングルに挟みこみ、ペグの軸を通して木ネジで固定してみることにします。

家にあるもので手頃な木の板はないものかと探していると、物置の中から何と昭和初期に使われていたのではないかと思われる薬入れの木箱!よくこんなものが残っていたもんだと、おそらく亡くなったお祖父さんが使っていたものと思われますが、これが丁度良い薄さだったので解体して加工してみたいと思います。

DSC_1905
DSC_1906

アングルの穴とペグの位置関係を計りながら寸法をとり、ホビー用ノコギリでカット、穴あけはまずキリで小さな穴をあけ、そこへ以前ブログで紹介しましたリーマーという道具を使って適当な大きさに広げます。

DSC_1908
DSC_1909
DSC_1911

木ネジは細くて長めのものを使用(家にあったヤツです)手作り感満載ですが何とか取り付け完了、弦をつなぎとめるテールピース部はボルト、ナットをとりあえずアングル最後尾の穴に通して固定します。

DSC_1914
DSC_1915
DSC_1917
DSC_1918
DSC_1919
DSC_1920

<ボディ部>

次にボディ本体となる竹の加工、固定に入ります。

あらかじめ裏山で採取してきた竹1本をちょうど良い長さにカッティングするのですが、弦のスケール、長さをエレキギターと同じようにとりあえず合わせてみたいと思います。

DSC_1933

DSC_1927

アングルに乗せる竹の位置を決めクラフト用ノコギリでカット、竹には節がありかなり出っ張りとなるので試しに軽くヤスリで削ってみました、てき面簡単に削れます、また行程が進むにつれ調整していかないといけないので今はほどほどにしておきます。

DSC_1925

<ナット・ブリッジ部>

次に弦を支えるためのパーツ制作に移ります、イメージとしてはプレートとビス、ナットを組み合わせて構成していこうと、ビスのネジ溝で弦をガイドする役目をさせながら竹とアングルを固定するプランです。

家には長いビスが無かったのでホームセンターにてM3×40サイズのビス・ナットセットを購入、これを使って固定するつもりですが、あらかじめホームセンターで購入していた鉄のプレートで位置や固定方法をいろいろ試してみた末、ナット側とブリッジ側とでは竹の太さが違うので次の写真のようにナット側はアングルの下から「V」の字型にプレートを繋ぐ感じで、ブリッジ側はアングルの穴を通して竹を巻き込む形をとっています。

DSC_1931
DSC_1943
DSC_1929
DSC_1930
DSC_1945
DSC_1946
DSC_1944

半ば強引にプレートを曲げ ビスが入るように細工しますが、ビスの方ももともと細いので若干曲がるようになります、ある程度のことは仕方ありません、とりあえず仮止めをしてここに弦を張ってみたいと思います。

DSC_1952

まあ予想通りではあったのですが竹の両端が弦に引っ掛かり、ビスで作ったナットとブリッジに完璧にかかっておりません。

またネックとボディを共有する竹真ん中部分の節も弦に当たる高さです、まずこのあたりを削るようにしなければなりません。

それでも思いのほか節の高さがあるのでビスにうまく乗っかってくれません、こうなれば強引に竹の外側から切り込みを入れるしかありません。なので両サイドをノコギリでそれぞれ3本の切り込みを入れていきます。

竹の太さの関係で弦と弦のピッチがギターの間隔よりも狭くならざろうえません、これが後の演奏にどう響くか心配ですが、とりあえず思い切ってナットとブリッジがかかるところまで深く切り込んでいきます。

ようやく両サイドのビスに乗っかるようになりました、適当にペグを巻いていきテンションを上げて開放弦でつまびくとギターらしい響きがしてきました。

DSC_1956
DSC_1957

<フレット・サウンドホール部>

次にボディー中央の節をフレットとして役目をなす所まで削っていきます。

粗めの紙ヤスリを使用し、根気よく磨いていきます、竹が筒状になっているのでフラットにしようとすると表面がひし形に白く中の部分として現れてきます。

DSC_1961
DSC_1963

次に音の出口となるサウンドホール作りに入ります。アコースティックギター系には必要な部位なので、とりあえずこれぐらいかなと思う大きさの穴を開けてみたいと思います。

鉛筆で下書きをし、クラフト用ノコギリで切り込みを入れ、彫刻刀で少しづつ削っていくようにします、ある程度口を広げたら周りをヤスリで形を整えていくようにします、これがサウンドにどう影響するのかは予測がつきません。

DSC_1965
DSC_1966
DSC

一度 弦を1本張ってみてつまびいてみます、なるほど確かにサウンドホールから音が出ていますが、当然の如くボディ自体が大きく共鳴するような構造になってないので音量的には大きく出ません、しかしながら上半分の竹をフレットとして押さえて鳴らしてみると、どこかエキゾチック(まあ三線のような響きではありますが)な音がします。

若干ブリッジ側の固定が甘く、ビビり気味なので強度を出すため、ビニール配管用の固定金属を使ってスペーサーとしてはめ込みます、、とりあえずはうまく固定できました。

DSC_1969
DSC_1970

いよいよ3本、弦を張ってみたいとおもいます、素人考えではありますが、とりあえず上からエレキギター弦の5,3,1弦をセレクト、一番おしりのテールピースの役目をするビスに弦の端の輪っかを通して巻きつけます。

<チューニング>

だんだんと完成形に近づいてきました。調弦も試行錯誤の途上ではありますが、今のところとりあえずエレキギターの5.3.1弦を使用しています。

まず手始めに三味線のチューニングを調べてみますと、本調子、二上がり、三下りとかあるようで、そのパターンで調子(Key)が12本あるといった具合です。

よく分からないまま、とりあえず(とりあえずが多いですけど)調子一本目のキーA(ラ)である本調子、3弦A(ラ)2弦D(レ)1弦A(ラ)で合わせてみます。

自宅の電子ピアノでA(ラ)の音を拾いながらチューニングしていきます、3本の弦を合わせつま弾いてみると、なるほど何となく三味線みたいな響きがします。

適当にフレットにポジションをとってストローク、単音引きしてみます。確かに音量はそんなに出ませんが、ニュアンスとして三味線、三線に近いものはあります、ただ鉄のアングルと竹の共鳴するプラスアルファの音色は独特なのかなと感じます。





DSC_1982
DSC_2018

<仕上げ>

ここまで、ほぼイメージどおりに仕上がってきたので最終的な調整に入ります。まず、ヘッド部分ですが加工した木のまんまで、いかにもなので形を整え黒く塗りたいと思います。

彫刻刀で出っ張り部分を削り、ヤスリで微調整し、家にあった黒の油性マジック、車用のタッチペン(ブラック)で着色していきます。

DSC_2006
DSC_2007
DSC_2008
DSC_2009
DSC_2010
DSC_2011
DSC_2014

<命名>

これでひとまず完成の運びとなりまして実質どのように演奏していくかですが、その前にこの楽器の名前をつけたいと思いました。

作成中にもいろいろ考えて候補をいくつか設定しておりましたが、最終的に「竹三」(たけみつ)と名付けたいと思います、ボディーが竹、弦が3本ということから来ています。

古来の竹製の刀「武光」と読み的に被りますが、どちらも日本の魂アイテムという意味合いで、一文字変えることにより差別化を図ります。

おそらく今のところ世界に一つしかない楽器(自分ではそう思っていますが)なので演奏を何かしらマスターして披露したい思います。

DSC_2017
DSC_2016

とりあえずはユーチューブでも紹介動画をアップしているので、どういうサウンドなのかをこちらでご視聴いただければと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です